・盤質：B、その他状態： イタリア テクニカル・メロデス’09年 1st 輸入盤


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結成そのものは'92年にまで遡るらしい、イタリアのテクニカル・メロディック・デス・メタル・バンドの'09年1st。


まずポイントとして挙げられるのは、この作品当時はSADUS他で知られる渡り鳥ベーシストにしてフレットレス・ベース超人のSteve DiGiorgioが在籍していたということ。フレットレス・ベースなのにバキバキした音を出し、しかも浮遊感も感じられるプレイは唯一無二のものであり、変幻自在のプレイはこのバンドのサウンドにもしっかりとフィットしています。


当時のバンドの編成は、ギタリスト2人にSteve DiGiorgioの合わせて3人。片方のギタリストがヴォーカルも兼任し、メロディック系にしてはかなり邪悪なガテラル・ヴォーカルで魅了してくれます。ドラムのDarayはゲストで、ポーランドのVADERにDocで長年活躍し、他にもVESANIAなど他方で活躍している人物です。


サウンドの特徴は、高速の2ビートとブラスト・ビートを主体に突っ走りつつ、スロー/ミドル・パートへの切り替わる展開も多めの起伏のあるサウンド。リズムには変拍子も程よく交え、DEATHを思わせる曲展開でありながら、DEATHよりももっとメロディックであるのも特徴。初期のテクニカル・デスに、'90年代のデス/ブラック・メタルに多かった、メロデスとブラック・メタルの中間的なメロディックなトレモロ・リフを加えたスタイルといった感じ。


リフはむしろ刻みよりもこのトレモロ・リフの方を主体としており、メロブラ好きでも気に入るかもしれません。リフのメロディーの質感としては、ブラック・メタルのような儚さや、邪悪さなどを醸しだす場面は少なく、むしろGATES OF ISHTARや初期のDARK TRANQUILLITYなどを思わせるような、若干の青臭さを含んだようなメロディーが中心になっているのも特徴。泣きを多めにフィーチュアしたギター・ソロも聴きどころで、バックがアグレッシヴなところは速弾き、穏やかになるとそれに合わせて泣きを決めるなどのプレイが楽しめます。


静のパートのメロディアスさ、美しさと、高速疾走パートの対比も実に鮮やかで、それぞれのパートの良さをうまく引き立てています。Tr.7のようにメロディアスかつスリリングなインストや、Tr.9のように、浮遊感のあるインストでアルバムを締める辺りもセンスあるなぁと感じさせてくれるポイント。Darayのドラミングも、ブルータル過ぎず軽すぎずの、実にこのバンドのサウンドにフィットした変幻自在な演奏が見事。


統一感もある上に、曲ごとに個性も感じられる隠れた名作といったところです。テクニカルさ重視かつ、ブルデス寄りなテクニカル・デスが好きな方には物足りないと思いますが、程よくテクニカルで、メロディアスさ重視のもの、メロディアスかつ疾走感も強いもの、メロデスとメロブラの中間みたいなリフが好きな方などに幅広くオススメできるタイトルです。

【★、デス・メタル/メタルコア・イタリア】